不完全、不安定
記憶の定着には、前提条件があります。それは、受講者が、聞きたい、知りたいという状態になっているかということです。
興味があることは、覚えが早く忘れないことを考えると、これが、正しいことは容易に想定できます。聞きたい、知りたいというのは、
興味を持たせることだが、その知識を獲得した自分の将来の姿も重要です。その知識を獲得した自分は、これまで、できなかった
ことができるようになっているだろうし、実行レベルや、品質レベルも向上していることでしょう。このような将来像を見せることで、
学びたい、聞きたい、知りたいという状態ができ、積極的に理解し、記憶に定着させるための準備ができます。
このような意識は、将来像だけではありません、例えば、10個の箱があり、1つだけ蓋がしまっていて中に見えない場合、
蓋を開けて中が見たくなるでしょう、このような意識は、脳細胞の本能的な対処に依存します。脳細胞は、安定や整理された
状態を望みます。これは、生命維持とか、種の保存に通じる本能的な物なのです。つまり、1つだけ蓋が締まっている状態は不安定で
危険と判断して、安定、安全な状態になるような意識が働き、少なくとも、1つだけ締まっている蓋に意識を集中させようとします。
また、脳細胞は、不安定な状態や、不完全な状態を嫌い、安定し完全な状態になるように働き掛けます。
例えば、ゴールが、10だとすると、8までで諦めるのではまく、10まで完遂しようとします。10個のスタンプは全部押されるまで努力します。
ジグソーパズルを完成しようと、なぜか頑張ってしまった経験もあるでしょう。研修セミナーでも、ゴールを明確に見せて意識させるのは、
脳細胞に、不安定さ、不完全さを刷り込んで行動を促すことが目的なのです。