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誘導と承認の効果

受講者、参加者にとって、研修やセミナーの当日は、非日常(ハレ)の日でありたいと期待します。
このため、今日は特別という演出をしておもてなしをします。研修、セミナーを行う講師やファシリテーターは、サービス業です。
サービス業者として、受講者、参加者にとって、研修セミナーの目的は何であったかを、今一度思い出していただきたいと思います。
恐らく、知識を獲得することだけではなく、その研修で習得した知識やノウハウを持ち帰り、自身でもできるようになることが目的であるはずです。
講師やファシリテーターは、このことを十分理解し、常に意識していただきたいと思います。

「研修」を、単に知識を伝達する手段であると考え、それを提供することで対価をいただくビジネスとして考えた場合、受講者が求めている
真の目的を見失ってしまうかも知れません。効果的な研修とするためには、知識だけでなく「体験」や「演習」を組み込むことが重要です。
「体験」や「演習」では、次のような考慮の元、各種のアクティビティ創り込まれます。
これらのアクティビティは、主に、場を創り(KA2場創り)、ここで設計されたコンテンツを創り込む(KA3.1 構成)で全体構成を決め、
(KA3.2)部分の設計を経て、コンテンツの設計は伝える(KA3.3)に含まれます。まずは、理解促進(KA3.4)で、知識の伝達。
その後、記憶定着(KA3.5)、行動誘発(KA3.6)、更に、アクティブラーニング(KA3.7)で「体験」や「演習」を実施します。
現場対応(KA3.8)は、開催中に不測の事態が生じた場合の対応です。
実際のファシリテーションの実施という意味では、伝える(KA3.3)部分が肝となります。。

(1)知識を習得する(KA3.4理解促進 )
(2)記憶に定着させる(KA3.5 記憶定着)
(3)リアルな体験から行動を誘発させる (KA3.6 行動誘発)
(4)気づきを与え応用を誘発させる(KA3.7アクティブラーニング)

アクティビティの連携で生み出されるリアルな体験的学習は、疑似体験の機会であり、習得した知識の理解度が高まり腹落ちします。
また、疑似体験を通じ、知識を使えるスキルに変換することができます。このような体験や演習は、非日常(ハレ)であればより効果的です。
研修当日は、受講者にとって、ハレの日なので、今日は特別な日であるから、特別な体験をするわけです。
ですから、「場BOK」では、ハレの日としての特別な日を演出し、受講者にも意識してもらいます。
研修を心待ちにしている受講者は、その日が特別な日であることを意識しているはずです。意識していない受講者にも、早い段階で、
意識していただくような働きかけをします。その結果、「今日は、目的を持った学びの為の体験を楽しむ日。」という期待と不安の中、
非日常的体験が繰り広げられる会場に到着します。

そして、ハレの日の当日ですが、受講者がハレの日と思っているのであれば、研修の主催者側の受け入れも、それに見合う演出を
しなければならないでしょう。冒頭で触れた冠婚葬祭の例を思い出してください。例えば、告別式の式場スタッフは、殆どの場合、
喪服を着用しています。これは、告別式という場を演出しているに他ならないでしょう。仮に、告別式で、派手な衣装を身に着けたら、
大顰蹙であろうし、その告別式は大失敗に終わるでしょう。このようなハレの日の演出での重要な概念として、「誘導」と「承認」を紹介します。


①誘導
場(主催者側)が、受講者の意識を受け入れる段階です。ハレの日には、受講者は習得した知識を使って演習での疑似体験を
経験する場合、興味や期待はあるものの緊張と不安を抱えていることでしょう。この気持ちを素直に受け止め、あなたにもできますよ、
さぁやってみてください。楽しみましょうというスタンスで臨むべきです。また、上記の喪服の例のように、皆さんが喪服を着ていれば、
今日が告別式で、個々が葬祭場であることを認識することができます。
ロールプレイなどでは、本番さながらの演技で核心に迫る演技も大切です。このように、スタッフ一同が、ハレの日を演出することで、
今日は特別な日であり、ここは特別な場所であることを伝え、その「目的」を受講者の潜在意識に刷り込むことができます。

事例として、ディズニーランドのアトラクションに入場する前の行列を考えてください。
人気のアトラクションは、混雑時には、数時間並ぶことも珍しくないでしょう。並んでいる間、そのアトラクションのイメージを少しずつ刷り込み、
意識を高めるような工夫がされています。これは、待っている時間を飽きさせないだけでなく、これから、入場するアトラクションへの期待を高める
仕組みなのです。研修セミナーでも、このよう仕組みを組み込みたいですね。

「誘導」の仕組みで、意識が高まった受講者を受け入れる際、基本的な考え方は、あなたを、心からお待ちしていましたと歓迎の気持ちでしょう。
そして、三々五々受講者が集まり、研修が始まり、扉が閉まった瞬間から、参加者の意識を一枚岩にし、場のコントロールが始まります。
勿論、参加者の知識やレベルの差により、意識や目的が違うのは当然です。
ただ、この場に居合わせる参加者は、少なくとも同じ方向を向いているべきだし、目指すべきゴールも似ていることが望ましいですね。
このような状態になるよう、会の冒頭では、場のコントロールが重要となります。

②承認
具体的には、研修のゴールの提示とその内容に同意を得ることです。ほとんどの場合、研修のゴールは何らかの形で提示されているおり、
受講者は、それを意識して参加されているでしょう。研修会場では、その意識に「念を押す」形となります。
具体的には、つぎのように進めます。殆どの場合、研修のゴールをスライドで掲示して、「この研修のゴールは、〇〇です。」と説明します。
「承認」では、「この研修のゴールは、〇〇です。」だけでなく、「よろしいですか」と付け加えます。
これは、研修のゴールを自分事(KA3.2.1)にするためです。仮に、この言葉がないと、ゴールは提示されたけれど、受講者が自分自身で
消化できておらず、自分事(KA3.2.1)になっていない可能性があります。このため、「あ、そう」。という形で受け流されてしまわないでしょうか。
そこで、「よろしいですか」と付け加えることで、受講者への問いかけに対し、YES/NOの回答を求めます。当然、答えは、YESでしょう。
つまり、研修のゴールに自らが「同意した」という責任が発生するのです。この状態と、前述の「あ、そう。」の状態とは、潜在的な意識の
差があることに気が付かれたでしょうか。

脳細胞には、自分が同意したことは全うしようとする性質があります。つまり、「よろしいですか」という質問を挟むことで、受講者は、
ゴールに対する達成責任と、達成意欲が無意識のうちに、潜在意識に刷り込まれた状態になります。更に言えば、「よろしいですか」は、
NOと断る選択肢を残していいます。選択権はあなたにあるということです。これは、押し付けているのではないという意味合いを表現して
いることにもなります。あなた自身が、掲示された研修のゴールを認め、このような状態になることに対して、承認したということは、
このことが自分事(KA3.2.1)になり、行動を誘発するのです。人は、自分事(KA3.2.1)に対してしか行動しないのです。